倒産企業の社長が言う倒産理由をIT業界から見て思ったこと

   

ビジネスジャーナルにこんな記事が出てました。

倒産企業社長が明かす「倒産の原因」の共通点…自己中心、他人のせい、苦手なことを避ける(http://biz-journal.jp/2015/12/post_12892.html

会社が倒産した社長のイメージ画像
(via ぱくたそ

これを読んですごく腹落ちした部分もあれば「社長から見た倒産理由と社員から見た倒産理由って少し違うな」ということと「社員の方が倒産しそうなときは先に気づくのか」という2点が気になりました。

 

社員が先に気づくのは、全てに満足をしている社員は少なくて、基本的に何かしらの不平不満を持って働いている人がほとんどなので、ネガティブな情報には敏感に反応するのが早いからだと思う。

明確に 会社 < 自分 というプライオリティがあります。

対して社長は 会社 = 自分 なので、きつくてもネガティブな状況でもそれを見ないようにしたり、気付いてもそれを全力で食い止めようとしますからね。

 

そして、記事でも指摘してましたけど、以下の倒産理由10個のほとんどが内部要因。

(1)経営者の高慢、経営能力の過信
(2)社員教育の不備、欠如
(3)事業目的・目標・計画性の欠如
(4)業界情報の不足と環境変化への対応
(5)新商品の欠如、技術開発の遅延
(6)家庭不和、同族経営の弊害
(7)公私混同、経営哲学の欠如
(8)決断力・実行力の欠如
(9)計数管理の不足と勉強不足
(10)ワンマン、反省心の不足

社長は基本的に社員より外向きの仕事をしているので、たくさんの外部要因は理解した上で事業を推進したり戦略を練ったりしていることでしょう。なので改めて倒産理由を外部にするのは当たり前過ぎるというか、分かってて何も出来なかった自分を認めたくないからじゃないでしょうか。

また、倒産理由を外部のせいにするのって卑怯で責任転嫁というイメージを持っている社長も多いです。この辺りは見栄を重視する日本人的なところですよね。ちなみに記事にも出てますが海外では内部と外部関係なく要因を特定する人が多い印象です。

 

ただ、この記事には

企業は従業員からは腐らない。もし腐るとすれば社長から腐る。まさに、「魚は頭から腐る」のである。

という1文があるが、これには異論がある。

というのも、社員から腐ってそれが蔓延し、人が定着せず出入りが増えて文化も技術も継承されず、ただ利益を上げる装置になってしまった場合があるからだ。ちょっとした外部要因により社員が一斉に離脱することもあり「いい会社があればいつでも」と考える転職予備軍だらけになってしまう組織が多い。

そのきっかけは「会社の仕組み」によるところが多いので、ある意味社長がきっかけではあるんですけけど、「社長」は、ほぼこの状況に気づかない。

 

やる気の無い社員
(via ぱくたそ

僕が過去に勤務した会社や近い取引先の会社での倒産は片手で数えられるくらいしか無いのですが(IT業界で同じ業界内での倒産はもっと見てきた)そこで感じたことをまとめてみました。あくまで社員目線です。

(1)社員が仕事を作業のようにしている
(2)社内の情報が均等に回らない
(3)社員同士の仲の良さは関係ない
(4)会社が理念よりも利益を重視している
(5)事業の柱が1本でGoogleやApple、楽天、Amazonなど民間企業1社に依存している
(6)適材適所じゃない
(7)スーパー社員に頼りきり

 

利益重視の営業会社ではGMOなど電話営業のインセンティブ制度が有名ですが、同じような事業をやって突き抜けられずに倒産した会社がたくさんあります。また、理念が薄くなりがちで、そうすると仕事が作業となって良く言えば分担制のようになってきます。

そこで社員同士がどれだけ仲良くて飲み会や課外活動をやっていても関係ないですし、社員同士の関係は会社が無くなっても続くので、仲いいから仕事がんばるとはならないのが困ったところ。

あと5番の事業の柱が1本でどこかに依存しているのはスタートアップではよく見る風景ですが、その依存度が高ければ高いほど危険です。なぜならIT業界の変化は激しいので、Googleの仕様変更ですっ飛んだSEO会社も数知れず、事業譲渡や事業部解体なんてザラにあります。

適材適所じゃないのは、IT業界では得意じゃなくてもやるしかない状況や、兼任が多いという要因もありますが、社員が「俺はなんでこんなことやってるんだろう」って考えるきっかけが増えてしまうんですよね。

スーパー社員に頼りきりなのはどこの会社でもあるけど、その人がいなくなった瞬間にたくさんの社員が抜けたり事業を畳むことに。。。

(書いてて切なくなった、社員の仕事でのモチベーションを上げるのって大変だよね。。。)

 

あと、倒産する会社に共通して言えることは

マーケティングができない

これに尽きると思います。

つまり、自社の事業やサービスの顧客である『市場やユーザーやターゲットのことが理解できていない』ってことですからね。

 

P.S

そういえば社長が最初から腐っていたパターンも少なくないと思います。「腐る」の定義が曖昧ですが。。。

この本は外部の経営コンサルの方目線で実際に倒産した話なのですごく面白かった。

これは大爆笑って言うより実体験に基づくすごく参考になる目からうろこな話ばかりでした。

 -ビジネス

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