「量のない質はない」を読んで。
どうもKickです。好きな言葉はワークライフバランスです。
森山大道(もりやまだいどう)さんが2012年にロンドンのテート・モダン(世界最大級の現代美術館)にて開催した特別展でのインタビュー記事がすごく面白かった。
森山大道さんは日本の写真家で、今年で78歳になる大御所である。
フィルムカメラはデジタルカメラよりも1枚にかける時間が長時間になりがちだが、森山氏はストリートスナップが中心のため以前から多くの枚数を撮影していたとの事。
しかし誰でも気軽にたくさん撮れるデジカメでは、1枚の価値が相対的に低くなってしまわないか?との問いに対して森山氏は、そこでタイトルにもある「量のない質はない」という言葉を使います。
量を撮り選りすぐることによって質を確保するというのも1つの真理。ただ大量に撮っても作品として発表できるのは一部だけかと思いがちだが、撮った物は全てOKだと言う。むしろ出来るなら撮った作品を全て展示したいが、展示会のスペースの問題で仕方なく選んでいるのが現状。
実際に街中での撮影時に、ファインダーすら覗かずにシャッターを切ることもあるそうで、そこには一般人には分からない何かがあるんだろうか?
1枚の写真を撮るという行為には自分の感情や気持ちが入っていくので、とにかく撮りたい人はとにかくたくさん撮る事で、自分の気持ちもわかるし、写真の事もわかっていくし、自分の感覚の精度を高める事で質に繋がるのかもしれない。。逆に集中して1枚を撮る人はそうやって撮る行為を積み重ねていくことで、自分なりの質をつかんでいく。
僕らは仕事をしていく上でトライ&エラーという言葉をよく使うが、写真にはエラーは無いのかもしれない。特に森山氏には。
エラーに見えても、それもある意味でリアリティと呼べるのも理解できる気がする。
社会的なメッセージって、あんまりそれを表に出そうとすると、説明的になり過ぎて作品自体からリアリティーが失われてしまうんですよね。政治性とか社会性というのは、自分たちの日常の中に含まれているものでしょう。だからその日常そのものを撮ることによって、たとえストレートではなくても、作品がどこからかメッセージを発するというのが写真作品のあり方なのではないかと思います。
このコメントにあるように、日常を思うがままに撮っていても何かしら自分の気持ちが入っている作品になるという事か。
「量のない質はない」という言葉の”質”を考えるとき、これを自分の本質と捉えるなら、絶えず量を撮ることで自分の本質が写真に出てきやすくなるという事がすごく分かる気がする。
仕事をしていても、質を追い求めるための量は必要だと感じていて、普段もこのブログや他のブログで文章を書いて、仕事でも記事を書いたり写真を撮ることが多い僕の場合は、やはり1文字でも多く書いて、それを編集して短く削って本質に近づけていく作業が必須。
とにかく量をこなす事でスピードが速くなると共に精度も上がっていくのは実感としてあるので、逆説的に「量のない質はない」という事も理解できる気がする。
でもまだまだ量が足りないなぁって思うからもっと量をこなしていきたい。
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