地方銀行に安定無し、合併・再編・統合の動きまとめ

   

2017年1月5日の読売新聞朝刊にも1面と11面に出ていたように、三重の三重銀行と第三銀行が統合を検討していると発表された。

三重県内に本店を置く地方銀行の三重銀行(四日市市)と、第二地銀の第三銀行(松阪市)が経営統合交渉を進めていることが分かった。人口減など地域金融機関の経営環境が厳しさを増す中で、両行は統合で経営基盤を強化し、生き残りを図る。地銀の再編機運が一段と高まりそうだ。

via:yahoo!ニュース

銀行のお金

昨年2月には福岡の「ふくおかフィナンシャルグループ」と長崎の十八銀行が2017年4月をメドに統合すると発表、その前の2015年10月には熊本の肥後銀行と鹿児島銀行が統合し「九州フィナンシャルグループ」となった。他にも地銀の再編は枚挙に暇がない。現時点では経営統合により経営効率を高めていき、抜本的な改革ができるまで銀行の延命を図る措置と言えるだろう。

経営効率を高めるという事は合併する銀行で同じ仕事をしていた人の労働集約を促進するため、1人当たりの仕事量は増加するが、効率よく回せる範囲に留めるだろう。しかし確実に人はあぶれる事になる。つまり、今まで「銀行」という高い利益率の傘の中で能力以上の給与で囲われていた社員から順に肩たたきか地道な営業に回され数字で評価され、全体的に見れば給与は下がっていくのは間違いないだろう。

 

福岡のふくおかフィナンシャルグループと長崎の十八銀行(2017年4月)

地銀大手のふくおかフィナンシャルグループは、日本の地方都市で数少ない人口増加都市である福岡市に本拠地を置くグループ。

もともと福岡銀行と熊本ファミリー銀行の両行による株式移転で新会社として2006年に誕生し、2007年に親和銀行を子会社化した「ふくおかフィナンシャルグループ」であるが、さらなる統合で効率化を図る。グループ傘下の親和銀行と十八銀行は同じ長崎県を地盤に持つため、2018年4月をメドに合併する予定と発表されている。

 

熊本の肥後銀行と鹿児島銀行の合併で「九州FG」(2015年10月)

九州からは2015年10月に熊本の肥後銀行と鹿児島銀行が合併している。

 

茨城の常陽銀行と栃木の足利銀行の合併で「めぶきFG」(2016年10月)

茨城県の常陽銀行、栃木県の足利銀行を含む足利ホールディングスは2015年10月に経営統合の最終交渉にあるという報道があり、2016年10月に実際に統合が行われた。

 

愛知県の三重銀行と第三銀行は経営統合

2017年1月5日、2017年度中の経営統合を目指して交渉に入ったと発表されている。日銀のマイナス金利政策により地方銀行全体で経営環境が厳しくなっている中、この流れは加速しそうだ。

両行の持ち株会社を作りぶら下がる方式と合併との両軸で検討しているとの事だが、これにより全地銀105行の中で30位台になりそうだ。

 

東京銀行と神奈川県の横浜銀行が統合し「コンコルディアFG」(2016年4月)

2014年11月に両行が経営統合に合意し2015年9月の取締役会を経て、株式移転方式で完全親会社として設立。当時は「ふくおかフィナンシャルグループ」を抜いて地銀1位となることが予想されたが、2016年9月末の連結総資産では18.4兆円で2位となっている。

グループには他行からの参加も歓迎しているので、今後も拡大の可能性がある。

 

東京都民銀行と八千代銀行+新東京銀行で「東京TYFG」(2016年4月)

東京都民銀行と第二地銀の八千代銀行が経営統合すると発表されたのは2013年8月。2014年秋をメドに持株会社の東京TYFGを作り両行が子会社となる計画だ。その後、2015年6月に新東京銀行も統合

また、三井住友信託銀行も第三者割当増資を引き受けるなど関係を強化している。

2018年には現在の子会社扱いから、八千代銀行が2行を吸収合併し、「株式会社きらぼし銀行」と社名変更の予定。

 

徳島銀行と香川銀行と大正銀行の合併で「トモニホールディングス」(2016年4月)

2010年4月に徳島銀行と香川銀行の両行が傘下に入る持株会社を設立。人口減少で市場が小さくなる四国から関西圏への進出を掲げており2015年9月に大阪第二の地銀である大正銀行を株式交換で子会社化する事で合意、2016年4月に完全子会社化が完了した。

 

 

以前までであれば、地方経済において、銀行勤務は公務員と並んで花形と見られていた。しかし会社自体が合併しポジションが重複し人が余るようになってしまえばリストラは避けられない。

銀行自体が今後は貸し出そうにも、利子を払って借りてくれる企業自体が少なく、またマイナス金利政策により利子も少ない現状では金融事業以外の収益を作り出さなければ立ち行かなくなる地銀も出てくるかもしれない。流行りのFintechに投資するにも三菱東京UFJ銀行のように巨大な資本が無ければ難しい現状で、その地方銀行で働いている社員が、今後あぶれた場合の行く先はどうなるってしまうのだろうか。

今後も、地方銀行の再編からは目が離せない。

 

地方銀行・第二地方銀行の連結総資産の順位(2016年9月末)

  1. ふくおかFG+十八銀行:20.4兆円
  2. コンコルディアFG  :18.4
  3. めぶきFG      :15.5
  4. 千葉銀行      :13.5
  5. ほくほくFG     :11.9
  6. 静岡銀行      :11.1
  7. 山口FG       :10.1
  8. 西日本FH      :9.3
  9. 九州FG       :9.3
  10. 北洋        :8.6

 

 

 

 

 -ビジネス

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