メディア担当者になりたい、やってるならこの本は必読8冊+α
Webメディアに関わる仕事をこの数年ずっとやって来たKickです。
この数年の間で、色々な本を読んで勉強したり実践して成功、失敗した内容を振り返ってみると、ちょうど世の中にあるWebメディアの成立する形が移り変わるタイミングなんじゃないかと感じる事が多かったので、一回整理しておこうと思います。
と言うのも、スマホ化の波が押し寄せる中、メディアの広告費がどんどん安くなっているのは皆さんご存知の通りだと思います。
コンテンツ側としてはメディアに安く広告を出せるので有利かと思いきや、Web広告をクリックされても、サイトをしっかり見てもらえなかったり、まさにユーザーの行動その物が変わってきているんです。
そのため、クリックやPVからの広告効果が薄くなり、広告単価が下落しています。
インターネット上の広告費全体は上昇傾向なんですがね。。。これはメディア数の増加も影響があるでしょう。
今までのWebメディアはPVを広告費に置き換えていた
つまり、雑誌やテレビと同じビジネスモデルで、Webと言うフォーマットに合わせていただけ。
とにかくたくさんの人(主にPV)を集めてそれを元に広告主に対して高い広告枠を提供出来るようにしていた。
アドネットワークやDSP、SSP、ネイティブアドと色々な形はありますが、基本的にPVやクリックを広告費と言う収益に変える仕組みです。
これだけでは今後のメディアが成立しなくなるので、その前に今までとこれからのメディア担当者のためになる本をまとめてみました。
はちま起稿 月間1億2000万回読まれるまとめブロガーの素顔とノウハウ
ブログに人生を狂わされた男との事で、とにかく記事を書いて反応がある事が楽しいと言う感覚は、やった事が無い人には分からないかもしれません。
Webに文章を書くモチベーションをどうやって維持していき、収益をどうやって上げていくのか、その後のキャリアは?等非常に興味深いです。
メディアの苦悩――28人の証言
主に今までのメディアについて色々な方にインタビューをしながら進めていく書籍です。
テレビやラジオとWebを並列で取り扱っており、メディア担当者の情報の幅としては随一だと思います。
本当にテレビはダメになったのか?ラジオの聴取率は?Webは完璧なの?等など、これも是非読んでおいた方がいい書籍です。
教師とするか、反面教師とするかは、読んだ人次第ですね。
5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?
東洋経済オンラインの佐々木紀彦編集長(当時)が書いた本。
現在はNewsPicksの編集長を勤めていて、これからのWebメディアのあり方を非常に刺激的な内容でまとめています。
メディアは今までの形のままでは、稼げない時代がすぐそこまで近づいてきていると、Kickも思います。
メディア化する企業はなぜ強いのか? ~フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識
メディアジーンの小林さんが書いた本
これは3年前に出版された事を感じさせない程のリアリティがあり、現在ギズモード・ジャパンやライフハッカー、タブロイド、roomie等のメディアを運営されているメディアジーンならではの視点が多数含まれています。
これからは全ての企業が何らかのメディアとしての側面を持たないと優位性を保てない世の中になっていくんでしょう。
課金ポイントを変える 利益モデルの方程式
これは、お金の話をするのが憚られる日本において、メディアがお金を稼ぐ事を正面から捉えた本です。
【いい物を作って、結果として利益を上げる】ではこのスピードと競争の激化しているインターネットの世界では勝つ事が難しいのは自明で、あくまで利益を念頭にしたと言う所が新しい視点と言えます。
確かに、高い理想や高尚な理念を掲げてスタートしたものの、お金もモチベーションも続かずにいつの間にか消えていくサービスやメディアも数多いので、こういう視点は間違いなく持っておいた方がいいと思います。
特に、紙媒体の編集者や古い世代ほど、【良い物を作りさえすれば売れる】と言う幻想に囚われがちなので、これはしっかり認識しておいた方がいいと思います。
広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。
【メディア野郎】の田端信太郎さんの2冊目の書籍。本田さんとの共著です。
これも挑戦的なタイトルですが、中を読めばその理由も理解出来ますので、是非読んで欲しい本。
とにかく【今までのルール】が通用しなくなっているのが顕著なインターネット界隈では、メディアや広告(CM)の新しい形が模索されています。
今までのようにコンテンツと広告が独立した状態では、広告が無視され、コンテンツだけを拾われてしまいます。しかし、広告を出してくれる人達がいるおかげで、僕達ユーザーは色々なサービスを安価、無料で受けられるのですが。。。
メディア側の役割として、広告をユーザーが受け入れられる形にして届ける事は、これからの広告主、ユーザーに対して必須の役割と言えるんじゃないでしょうか。
そういう意味で、広告やメディアで人を動かそうとするのはもうあきらめなさい、と言うタイトルは非常に深いなぁと感じます。
広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門
田端さんと同じくLINE株式会社から谷口マサトさんの本です。
これもメディアと広告の立ち位置から、より広告寄りに立って書かれた書籍で、今まで無視されていた広告が、ネイティブアドとしてユーザーに面白がられ、FacebookやTwitterでシェアされる事を、たくさんの事例を交えて書いてあります。
正直、その辺の変なSEO屋や、エセコンサル、アフィリエイターとは一線を隠した本当のコンテンツマーケティングについて書いてあるので、非常にためになりますし、腹落ちしてしっかりと知識として身につくかと思います。
これは面白かったなぁ。
いちばんやさしい新しいSEOの教本
これからのメディア運営には、面白い記事を書く、編集するエディター的な仕事と共に、それをどうやってユーザーに届けるか?と言うパブリッシャー的な側面も必要になってきます。
そこでWebマーケティングとして検索エンジンを意識したSEOをしっかりと知っておくのは必須と言えるんじゃないでしょうか。
もちろんSNSを使ってファンを増やすのはもちろんですが、メディアPVの母数を増やすにはSEOは必須です。
何故なら、メディア業界でSEOがしっかり出来ている所が少ないからです。今はまだ【良い物を作れば誰か見てくれる】と言う状態なので、そこでSEOが出来る担当者を抱えているメディアは非常に優位だと思います。
自分がいなくてもうまくいく仕組み
これは昨年の本で、チャットワークの代表取締役の山本さんが書いた本です。
チャットワークと言う、業務効率を改善して社員間の連携をスムーズにするツールを開発しつつ、日本とアメリカに拠点を持ち、いかにして自分がいなくても回るチームを作るか?と言うのが課題でした。
メディアの場合、常に編集者が何かの記事を書き、編集長が全体の方向性や記事のバランスを考えと言う事を続けていて、非常に人間に対する依存度が高くなりがちです。
そこで、自分がいなくても回るチームが出来上がると、非常にスピード感を持って仕事をする事が出来るし、代わりがいると言うネガティブな面よりもチーム全体として出来る仕事の総量が増えると言うメリットの方があるように感じました。
個人としては不安もありますが、やってみると自分の時間のマネジメント的にも非常に有益ですので、是非実践したい内容です。
ザグを探せ! 最強のブランドをつくるために
これは有名な本では無いですが、非常にいい本です。
どうやってブランディングするのか、メディアが乱立する現在のインターネットの中でどうやって差別化、異質化していくのか。
自社の優位性はどこなのか?
ただ「他社と違う」だけじゃなく、優位性を保ってどこを目指すべきなのか、について深い知見から書かれた本です。
メディアだけでなく、ビジネスモデル全般のためにも参考になる本だと思います。
2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い
メディアで釣りをしろと言う事じゃないんですけど、どんなタイトルがクリックされやすいのか?について書いてあります。
その先が気になる文章と言うんでしょうか。露骨過ぎてクリックした先のコンテンツの内容と差があり過ぎるとユーザーをガッカリさせてしまうので、メディアとしてやってはいけない事ではあるんですが、ある程度の期待を煽るような物でないと、そもそも見てもらえないと言う現実もあるのです。
そこでコンテンツの内容を吟味し、どこを切り取ってタイトルにすると、ユーザーが見たいと思ってもらえるか?と言う、いいコンテンツをどうやってユーザーに届けるか?と言う部分にも繋がってくるので、マネしないまでも、知識として入れておいて損はない本だと思います。
投資家が「お金」よりも大切にしていること
最後に。最近はメディアのコンテンツを買収してプラットフォーム化を目指すDeNA等もありますし、メディアを運営すると言うのは、とにかく他社から見られると言う事に繋がります。
そこで、もちろんメディア単体での黒字化もありますが、広告枠だけの販売では今後2~3年で回らなくなってくるはずなので、そこで売却する事も視野に入れる必要があるかもしれません。
広告枠以外の収入の柱を確立したメディアはまだ日本には存在してないはずなので、そこをどうクリアするかにもよりますが。。。
ただ、投資家から見て魅力的なメディアは、ユーザーから見ても魅力的なんじゃないでしょうか。
と言う意味で、知っておくと幅が広がるような気がします。
Webメディアとコンテンツ、広告のまとめ
今までのメディアを知る事で、課題となる部分が明らかになり、今後のメディアとして目指す部分が見えてくると思います。
これからのメディアとして、どうやって収益を上げてよりよいコンテンツを提供するサイクルを確立するかが課題となり、確立出来るメディアとそうでないメディアで、合従連衡や買収、合併等がおこってくるでしょう。
ではまた。
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